CTHY JOURNAL

CTHY JOURNAL vol.9 / LIMONTA NYLON

CTHYのシグネチャーアイテムにフォーカスした「CTHY JOURNAL」。
今回は世界屈指のマテリアル「リモンタナイロン」を紹介。

リモンタとは、創業から120年以上の歴史を持つイタリアの老舗生地メーカー「LIMONTA」のこと。
色合いや発色の美しさに定評があり、数多くのラグジュアリーブランドにも生地を提供してきた。

中でもナイロンは、リモンタを象徴する素材の1つ。
一般的なナイロンに見られるスポーティな光沢とは異なり、レザーを思わせる深い発色と鈍いツヤを持つ。

滑らかな手触りと重厚な表情を備えながら、実際には軽量。
化学繊維は安価でチープという従来の認識を覆し、ナイロンをラグジュアリーな素材へと昇華させた存在だ。

CTHYでは、バッグやシャツ、シェルジャケットなど、これまでさまざまなアイテムにリモンタナイロンを採用してきた。
同じリモンタナイロンでも、糸や織り方、染色、仕上げによって表情や機能は異なる。
アイテムの用途やデザインに合わせ、それぞれに適した生地を選定している。

「DRAWSTRING BAG」に採用したのは、イタリア製リモンタナイロンの「DAVIS」。
DAVISは、繊維を高密度に織り上げることで生まれるハリと、美しい形状を保ちやすい安定感が特徴。
目の詰まった生地構造によって水の侵入を抑えやすく、日常で使うバッグに適した撥水性と耐久性を備えている。

リモンタナイロンならではの発色も、DAVISを採用した理由の1つ。
ブラックの色合いが非常に深く、光を受けるとレザーのような鈍いツヤが現れる。
ナイロン特有の軽さを保ちながら、ミニバッグであっても重厚な存在感を持つ生地だ。

このバッグでは、DAVISを表裏に使用した2枚仕立てを採用。
贅沢に生地を重ねることでボディに適度な厚みとハリを持たせ、バッグのフォルムを安定させている。
荷物を入れていない状態でも形が崩れにくく、素材のツヤやシルエットが美しく見える構造だ。

内容物の量に左右されず、バッグ本来の造形を保つ。
リモンタナイロンの高級感を、素材だけでなく仕立てからも引き出している。

「CLASSIC SHIRTS」などに使用してきたのが、洗いざらしのような表情を持つワッシャーナイロン。
極細のナイロン糸を高密度に織り上げ、特殊なロープ染色やタンブラー仕上げを加えることで、自然なシワと柔らかさを表現している。

ロープ染色とは、糸をロープ状に束ねて染める方法。
糸の芯まで完全に染め切らない「中白」と呼ばれる状態が生まれ、均一な染色にはない奥行きのある色合いに仕上がる。

タンブラー仕上げでは、生地を揉み込みながら乾燥させることで、ふくらみと柔らかな風合いを与える。
単純にシワを加えるのではなく、染色と仕上げによって生地そのものに表情を作り出している。
リモンタナイロン特有の鈍いツヤに、細かなシワと柔らかな膨らみが加わることで、肩肘張らずに着用できるラグジュアリーな素材となる。

「SHELL JACKET」には、リップストップタイプのリモンタナイロンを採用。
リップストップとは、強度の高い糸を格子状に織り込み、裂けやほつれの広がりを抑える織物のこと。

「裂ける」を意味する“rip”と、「止める」を意味する“stop”を組み合わせた名称で、軍服やパラシュートを補強するための素材として普及した。
現在もミリタリーやアウトドア、スポーツなど、耐久性が求められるアイテムに広く使用されている。

CTHYで採用したリップストップは、経糸にメランジ糸を使用。
単色のナイロンとは異なる色の揺らぎが生まれ、天然繊維のような立体感を持つ。
格子状の組織とメランジの表情が重なることで、無地でありながら複雑な奥行きを感じられる生地に仕上がった。

さらに洗い加工を施し、ナイロン特有の強い光沢を抑えながら柔らかさを加えている。
新品の均一な表情ではなく、長く保管されていたミリタリーウェアのような落ち着いた風合い。
リップストップが持つ機能性を残しながら、リモンタならではの品の良さを加えることで、テックとモードが共存する素材となっている。

光沢と深い発色を活かしたベーシックなリモンタナイロン。
柔らかさと自然なシワを加えたワッシャーナイロン。
格子状の組織によって耐久性と奥行きを持たせたリップストップ。

一口にリモンタナイロンと言っても、その表情や機能は一定ではない。

アイテムの用途やデザインに合わせて適した種類を選ぶことで、同じ素材背景から全く異なるプロダクトが生まれる。
CTHYでは今後も、ナイロンの実用性とラグジュアリーな佇まいを両立する素材としてリモンタナイロンを使用し、それぞれの生地が持つ特徴を活かしたアイテムを提案していく。